「和算」に興味を持たれた方へ…


※以前、ブログにて掲載していたものを大幅に改稿して投稿しています。



『姫君は算術がお好き?』を読んで「和算」に興味を持ってくださった方へ。


和算のことがもっと知りたくなる、素敵な本をご紹介します^^

和算(わさん)とは、江戸時代の、日本独自の数学のこと。


こちらの本を簡単に説明すると、

「父親の影響で算法を好きな少女が、その父とともに和算書を出版するまでのお話」


江戸時代、安永4年(1775年)に出版された『算法少女』というその和算書をもとに、

遠藤寛子さん(時代小説としての作者)がストーリー仕立てにした…という内容です。



【あらすじ】

江戸神田銀(しろがね)町に住む少女、千葉あきは、13歳。大坂(大阪)生まれで内科と小児科の町医者、千葉桃三(とうぞう)の娘である。算法好きの父親の指導を受け、幼いながらあき自身も算法に優れていた。

ある日のこと。あきは、友人のおけいとその妹おみつ、お千代と一緒に江戸・浅草の花御堂(はなみどう)へお参りに行く。そこで奉納されていた絵馬「算額」に誤りを見つけ、やってきた考案者の水野三之介少年と言い合いになる。

その話を耳にした算法好きのお殿様、九州・久留米藩主の有馬頼ゆき(※「ゆき」はぎょうにんべんに童で、変換不可でした)は、あきを姫君の算法指南役にしたいと考えた。

ところが、有馬に仕えている、関孝和流の誇りある算法「関流」の算法家である藤田貞資(さだすけ)は、上方(関西)の算法を学んだあきのことを認めようとしない。

そこで彼は有馬に、同じ関流の算法を学ぶ武家の娘で、あきと同じ年頃の少女、中根宇多(なかね うた)を推薦。

そのころに松葉屋で町の子供たちと知り合ったあきは、彼らに算法を教え始めるようになっていた。

宇多との算法対決を経て、町の子供たちに算法を教える楽しさを知ったあきは、父の幼馴染で俳人の谷素外(そがい)の勧めもあって自分の本(和算書)を出すことを決意。

そうして出来上がった、千葉親子の和算書『算法少女』。あきは、最後の決断を下す。



あきの友達が、おけいちゃん&お千代ちゃん……

偶然にも、『哀しき遊女』の女将と仲居さんと同じ名前でびっくり。



ちなみにこの作品には、こんな問題が載ってます(ノ´▽`)ノ

みなさんは分かりますか?


☆九九の問題

「お団子を、町の子供たち7人に分ける。ひとり2串として、全部でいくつ必要か。」


あきの答えはこちら。

「みんなで7人ね。ひとりに2串として、二七の十四あればいいわね」

足し算で求めようとしていた、九九を知らない町の子供たちはこれにビックリ!

また、山部赤人の長歌の中にも、「十六」と書いて「しし」(4×4=16 しし、じゅうろく)と読むものがあるようで、これは獅子や猪という単語にもかかっているそうなのですが、ここでは、万葉集がつくられた時代から九九はあるということを物語っていました。

いやぁ、九九って奥が深いんですね!!


☆長者と下男の問題

「ある長者が下男に何でも望むものを申せと言った。そこで下男は、米1粒を一日から晦日まで毎日毎日一倍(2倍)にしてくださいと言った。」

一倍とは、決して×1のことではなく。「人一倍」という言葉にあるように2倍(×2)のことを指します。


ちなみに答えは「536870912粒(約215俵)」……だそうです。

うーん、、、桁が大きいなー。


☆3人の旅人の問題

「ここに商人が3人いる。ひとりは奥州へ行って、16日目に帰る。ひとりは西国へ行って、24日目に帰る。残るひとりは近国へ行って、5日目に帰る。3人は帰った翌日、また同じ所へ旅立っていく。この3人が一度顔を合わせてから、次にまた会うのは何日目か。」


☆ライバル、中根宇多と対決したときの問題

「円のうちに、大円2個、小円2個が接した形があるが、それらの大円小円は、またお互いに接している。今、一番外側の円の直径を七寸、内に接している大きい方の円の直径を三寸としたら、小円の直径はいかほどか。」


そこで、あきが考えたのは…


勾股弦(こうこげん)の定理


直角三角形の3つの辺をそれぞれ「勾」「股」「弦」とし、直角に対する辺「弦」の2乗は、「勾」と「股」のそれぞれの2乗の和に等しいというもの。


いわゆる、ピタゴラスの定理(三平方の定理)ですね。


ちなみに、さっきの答えは「小円の直径は二寸八分」でした。

でもこの問題は図がないと分かりにくいですね。。。


☆小石の問題

「小石を30まるく並べ、はじめの石を定め、5つ目にあたる石を取り、またその次より5つ目にあたる石を取り去っていくと、最後に残るのは何番目の石か?」


☆かけ算(そろばん)の問題

「1本19文の筆5本ではいくら?」

コレなら比較的簡単ですね!!

小学校高学年くらいの知識があれば、暗算でできるのではないでしょうか!?

え、、、暗算じゃなくて、そろばんを使えって?


一見するとムズカシそうな感じですが、なんとか私でも解ける…かも?

小説も読み終えたし、今度は問題にチャレンジしてみようかな!



ちなみに、遠藤さんのあとがきによると…

元になった同名の和算書は、今では国立国会図書館や東京大学などに数冊の存在が知られているだけのかなり珍しい本なんだそうです。

小寺裕さんの問題解説本も出ているそうですが……。

近くの大型書店で探してみてもありませんでした。。。

読んでみたいんだけどなぁ。(´д`lll)

というわけで。

和算に興味を持った方は、ぜひ問題にチャレンジしてみてくださいね♪

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